白霧の貴公子



ヒデオ 大佐、これはいったい。
大佐 見ての通りだ。アルハザンが大会中枢まで食い込み、私達敗退者をこの地下迷宮に放り込んでいるのさ。
美奈子 まさか……ずっとここに?
ジャバン ああ。かれこれ一ヶ月近くか?
ヒデオ ……知りませんでした。
ヴェロッキア 貴様が気に病むことではない。貴様は我らとの勝負に勝利しただけのこと。全ては大会責任者のあの女のせい、ひいてはアルハザンのせい……なんだ貴様。何故、我をじっと見る。我は男の血に興味はないぞ。
ヒデオ いや、そうではなく。……あなたは。
ヴェロッキア ?
ヒデオ あなたは、どなたでしょうか。
ヴェロッキア な!? 貴様忘れたというのか!? 我と繰り広げたあの死闘を!!
美奈子 (小声で)死闘というか……ヒデオさんと岡丸が一方的にボコにしてただけのような。
アカネ ダーリンはあなたみたいなザコ吸血鬼なんて相手にしないって。
ヴェロッキア ザ、ザコ……。
ヒデオ 吸血鬼……。ああ、あなたが。すいません。あの夜のことは、ほとんど覚えてなくて。あらかたの事情は、後で聞いたのですが。
ヴェロッキア お、覚えてない……。
ジャバン ……とどめ。
大佐 ……だな。
ヴェロッキア (真っ白になって)……我は相手にもされていなかったということか…………。




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Scribble <2008,08,04>