手相
ノエル クリスさん手を見せてくれませんか?
クリス なんですか、いったい?
エイプリル 街角に手相を見る占い師がいたんだ。
クリス ……ばあさんじゃなく?
エイプリル ああ。アノばあさんじゃなく、まっとうな占い師だ。で、それに興味を持ったノエルがみてもらってついでにあれやこれや教えてもらったわけだ。
クリス ……なるほど。どうぞ、ノエル。
ノエル わ〜。クリスさんってすごく生命線が長いんですね!
エイプリル 本当だな。
トラン ……死神のくせに。
クリス ……なっ! そう言う貴様はどうなんだ悪の手先!
トラン は? わたしのなんて見ても意味ないですよ。
クリス いいから見せろ! (手袋を奪い取る)
トラン やれやれ、しかたないですね。どうぞ、ノエル。
クリス なんで私を無視してノエルに……って生命線短っ!
トラン これってそうなんですか?
クリス ほらよく見てみろ! (右手を差し出す)
トラン ……あなたのは比較になりそうにないんですが。生命線が手首近くまであるじゃないですか。
ノエル あ、トランさん。あたしのを見ます?
トラン では失礼して。なるほど、確かに比べるとわたしのは極端に短いですね。って言うか、ノエル。あなたのも途中で切れ掛かってませんか。
ノエル あ、本当だ!
トラン やっぱり死神がそばにいるからですかね?
クリス ……う。
トラン 何でいつもみたいに言い返さないんですか!? そんな風に落ち込まれると調子が狂う!
クリス ただの、言いがかりだけなら言い返せるけど……こんな風に見せ付けられると、やっぱりへこむ……。
トラン ああ、もう! ノエルはあなたが守るんだから死にゃしませんよ! わたしは――ほらこれでいいでしょう!? (ペンで生命線を肘まで延ばす)
クリス ……トラン。
トラン まだ何か不満ですか!?
クリス いや、ありがとう。
エイプリル ……なんだかんだ言ってクリスにも優しいよな、お前。
トラン ……うっさい。
トラン なーんて事が昔ありましてね?
レント いきなり手を見せろというから、何かと思えばそんなことですか。
トラン そんなこととは失敬な。昔話をエサに弟とコミュニケーションをとろうとしているだけじゃないですか。
レント 普通に会話しましょう、兄さん。というか、気になることがあるのですが。
トラン ん?
レント わたしたちの体は殉職した組織員たちからそれぞれいただいたものだから手相など意味がないのでは?
トラン ――だから意味がないってあの時も言ったんですけどねえ。
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Scribble <2010,03,07>