乙女の憧れ?
ノエル やっぱり女の子だったらお姫様抱っことかあこがれますよねー。
トラン いきなりなんですか?
レント というか、それはわたしたちに同意して欲しいということでしょうか。
トラン わたしたちは男ですからね。そういう質問は女性のいるときに言わないと。
レント ですがエイプリルがいたところで意味がなかったのでは?
トラン ……そんな気がしますね。ところでノエル。
ノエル はい?
トラン 真似でいいならしてあげますよ、お姫様抱っこ。
ノエル 真似?
トラン そうそう。こうやってベッドに座って……はい、どうぞ。(ぽんぽんと自分のひざをたたく)
ノエル えっと……座るんですか。(ちょこんとトランのひざの上に横向きに座る)
トラン 背中とひざ下に手を回して……はい。これで持ち上げればお姫様抱っこですよ。
ノエル 持ち上がりませんか?
トラン 無理です。
ノエル ……あたし、そんなに重いですか?
トラン いえ、わたしに筋力がなさ過ぎるんです。
クリス ……なにをいちゃついてるんだ。
ノエル あ、クリスさん。お帰りなさい。
トラン おかえりなさい、クリス。いちゃついてませんよ、ちょっとじゃれあっているだけです。
クリス ……それが妙齢の男女の場合いちゃついてるというんだ。
トラン ……そうだ。クリスなら出来るかもしれませんよ。
クリス 何を?
トラン お姫様抱っこ。
レント 正式には『横抱き』ですね。
クリス ……まあ、出来るだろうな。っていうか倒れたトランを運んだのもそれだったし。
トラン ……げ。
クリス うっさい。それが一番運びやすかったんだ!
トラン ……まあ、過ぎた事は仕方ありません。クリス、ちょっとノエルを抱き上げてくれませんか?
クリス ……いいのか?
トラン 何が?
クリス いや、いいならいいんだ。……よっと。
ノエル ひゃー。高いですよー。(クリスにしっかりと抱きつく)
クリス ……(///)。
トラン 高いって、あなたの身長とそうかわらないでしょう?
ノエル でも、なんだかいつもとは視界が違いますー。
レント 楽しそうですね、ノエル。
クリス ……なんならお前も抱き上げてやろうか、レント?
レント いらん。
クリス ……まあ、それはともかく。トラン、返す。(ノエルをトランのひざの上に戻す)
ノエル 返されましたー。
トラン はい、おかえりなさい。(なぜかまた横抱きの姿勢に)
レント ……。
クリス どうした、レント。
レント ……わたしは、兄さんにノエルを取られて寂しいのか、ノエルに兄さんを取られて悔しいのか、どちらなのだろう。
クリス 私にはわからないけど……とりあえず、その感情はそれぞれ逆にしとけ。っていうかうらやましいなら混ざって来い。
レント ……そうする。
エイプリル ……これはどういう図だ?
トラン ……まあ、なんと言いますか。
ノエル すー。(トランに抱かれたまま寝ている)
レント ……。(トランの背中に引っ付いて寝息を立てている)
トラン ノエルがお姫様抱っこに憧れると言ったことからはじまりまして……かくかくしかじか。
エイプリル ……そこで選んだのがトランの背中な辺りさすがブラコン。
トラン 空いてたのがわたしの背中だけだったからというのも大いにあるかと。
エイプリル しかし、なんだな。お姫様抱っこというよりも。
トラン いうよりも?
エイプリル 母親に抱かれる赤ん坊と母親を取られた兄弟。
トラン お願いですから言わないでください。自分でもそんな気がちょっとしていたので……。
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