フォア・ローゼスin世界樹の迷宮

第二階層


ノエル 光の柱がありますよ。きれいですねー。
エイプリル トラン、あれはなんだ?
トラン そんなことわたしにきかれても……。レントは知ってますか?
レント いえ、わたしの記憶にもありません。
クジュラ あれは樹海磁軸と呼ばれるものだ。
ノエル あ、クジ……クジュラさん! こんにちは。
クジュラ ……今、またクジラと呼びそうになってなかったか?
ノエル き、気のせいですよ?
クジュラ まあ、いい。
トラン ……で、あれはどういったものなんですか?
クジュラ 仕組みは不明なのだがな、あれを使うと海都と地下を一瞬で行き来できる。
レント もしや、深都の古代技術か?
クジュラ そうかもしれん。真実を知る術はないがな。……まあ、ともかく。使って便利なものだ。迷宮探索に利用するといいだろう。
ノエル はい。ありがとうございます。
トラン ……どのように使用すればいいのですか?
クジュラ なに、簡単なことだ。ただあの中に飛び込めばいい。
トラン 飛び込む。あの、得体の知れない光の中に……。
エイプリル ちっとばかし実演してくれねえか?
クジュラ ……そう、あからさまに疑われると気分が悪いのだがな。
ノエル す、すみません!
クジュラ まあ、いいさ。俺がお前たちの立場だったとしても疑わずにはいられなかっただろうからな。
(くるりと踵をかえし、樹海磁軸の中に飛び込む)
ノエル ほ、本当に消えちゃいました。
レント なるほど。確かにこれは彼の言う通りのものだろう。
クリス どうする、ノエル。いったん町にもどるか?
ノエル そうですね。ナルメル倒してすぐに降りてきたからちょっと疲れてますし、帰りましょう。それに……。
エイプリル それに?
ノエル すぐに使ってみないとクジュラさんが気を悪くするかもしれませんし。……"そんなに俺の言うことが信用できないのか"って。
トラン まさかそこまで狭量じゃないでしょう。でもまあ、わたしも戻ることには賛成です。先に戻ったムロツミの二人にもこのことを教えてあげないといけませんしね。
 ……樹海磁軸使用。
クジュラ ずいぶん遅かったな。
クリス ……待ってたのか。
クジュラ 先に使用したはずの俺がいなかったら不安になるだろう。
ノエル (小声で)トランさんの言う通りでしたね。
トラン (小声で)でしょう? あれくらいのことで気を悪くするなんてな……。
クジュラ 信用されてないのが不満で待ち構えたなんてことはないからな。
ノエル ……。
トラン やっぱりちょっと心せまいかも?

【深都】…百年前に王と共に海の底に沈んだという都市。これを探すことが当初の目的。




クリス さすが海の底。貝がたくさんあるな。
ノエル 潮干狩りでもしましょうか。
トラン そんなことしなくても好きなだけとれそうですよ。
エイプリル 食って腹を壊すような貝はねえだろうな。
クリス 若芽と間違えて腹壊し……
トラン クリス、余計なこと言わない。
クリス ……う。(口をふさぐ)
レント ……少なくとも赤い二枚貝には手を出さない方がいいだろう。
ノエル 毒でもあるんですか?
レント ……いえ、手を挟まれました。
トラン って何を冷静にブラブラさせてんですか!? ざっくり食い込んでますよっ!
クリス は、はがせ! 早く貝をはがせっ!




ノエル きれいな小魚がいますよ!
クリス 本当だ。
トラン 確か……。ああ、あったあった。ノエル、これをあげてみてください。
ノエル あ、食べてる食べてる!
エイプリル (小声で)……まるっきり親子だな。
レント (小声で)その場合、兄さんが母親か。
エイプリル (小声で)当たり前だろう。
ノエル ……っ!? クリスさん、トランさん。
クリス ん? ……ああ、わかった。
トラン ここは魔物の餌場のようですね。
ノエル (無言で剣をぬく)
エイプリル やれやれ。お人好しの娘を持つと大変だな、お母さん。(銃をかまえる)
トラン そんなこと言わないでくださいよ……お父さん。
エイプリル なんで俺が父親だ。
トラン この面子ではあなた以上の適任はいないでしょう?
エイプリル ……ほう。
クリス 二人とも無駄口は後にしろ。……くるぞ!

エイプリル ところで俺が父親、お前が母親ならあとの三人は?
トラン 反抗期兄に愛され妹。そして末っ子弟。
クリス いい年した男つかまえて反抗期……。
レント 末っ子……。わたしはノエルより下ですか……。




ノエル ……樹海が怖いなら探索は止めた方がいいですよねえ。
トラン ええ。でも彼女はアガタが探索に出る限り冒険を止めないでしょう。
クリス でもそのアガタの探索理由はカナエさんのため。
ノエル どうすれば二人の助けになるんでしょうか?
トラン わたしたちには何もできません。でも、ただ一つ言いたいのは……。
レント 言いたいのは?
トラン お前ら話し合え。ギルドを組むパートナーなんだからもっと話し合って行動しろっ!




クリス なんだ、これ?
ノエル すごい勢いで水が流れてますよ!
クリス こんな勢いのなかじゃまともに歩けないな。ノエル、気をつけてくださいね。あなただとそのまま流されていってしまう。
ノエル わかりました。
トラン ……。(無言でエイプリルを見る)
エイプリル ……。(無言でうなずく)
トラン ……。(無言でレントを見る)
レント ……。(無言でうなずく)
トラン&エイプリル&レント せーの! (ドンとクリスの背を押す)
クリス え!? うわあああぁぁぁぁぁぁ!
エイプリル ……流れていったな。
ノエル ああ!? クリスさん、クリスさーん!
レント 重装備のクリスならもしかして流されずにすむかと思ったのですが。
トラン しょうがないですね。他に道はないみたいですし、みんなで流されますか。
 クリスと合流後。
クリス いきなり何すんだお前らはっ!?
トラン クリスならあの流れに逆らえるかなって。
クリス 背中を突き飛ばされた不安定なバランスで逆らえるわけないだろ!
トラン ああ。言われてみれば確かに。ではもう一度改めて試してください。(海流を指差す)
クリス 誰がやるか!?




ノエル この先に深都の手がかりがあるんですよね。
レント オランピアはそう言ってましたが。
ノエル どんな手がかりでしょうね。……"深都はこちら"とか?
レント だとしたらわかりやすくていいのですが……。
ノエル レントさん……なんだか否定的?
レント ……二階で、兄さんが彼女にわたしたちと同じ気配を感じると言っていたのを覚えていますか?
ノエル あ、はい。覚えてますよ。
レント さっきの彼女からはその気配を濃厚に感じました。しかも兄よりわたしよりの。
ノエル どういう意味ですか?
レント 感情がうすく、ただ任務を忠実にこなしているだけの人形……。まるで、昔のわたしのよう……。
ノエル 任務……?
トラン ……少なくともわたしたちによい影響はありませんね。二人とも気づいてますか。この辺りの水はひどく濁っている。
エイプリル これだけ大量の海水を濁らせるほどの何かがここにあるってことだ。
クリス かすかにだが臭うな。
レント 確かに何かの臭いがするな。
クリス エイプリル、お前はわかってるんじゃないのか?
エイプリル ああ。嗅ぎなれた臭いだぜ。
トラン ……最悪ですね。
クリス 今すぐ戻って問いただしたいところだが。
エイプリル ああ。もう遅い。
クリス 勝てるか?
エイプリル 難しいな。
トラン なら逃げるしかありませんね。幸いあの魔物らは目がよくないようでしたし、この大量の海水がわたしたちの匂いを消してくれる。
レント 音をたてず、決して慌てず……しかし速やかに退却しましょう。
ノエル オランピアさん……。


衛兵 やあ、こんにちは。
ノエル こんにちはー。ここで何をしてるんですか?
衛兵 迷宮の中ではいろいろと物入りだろう? だからここで補給所を開いているんだ。……代金はいただくけどね。
クリス へー。何をおいているんですか?
衛兵 回復薬にアリアドネの糸にレイピアだよ。……そうそう。これをお近づきの印にあげるよ。
ノエル わあ、ありがとうございます。トランさん回復薬もらっちゃいましたよ!
トラン ……四階での反応とまったく同じですよ、ノエル。
エイプリル ……レント。
レント ああ。
ノエル どうしたんですか?
レント 悪いが素材を大量にとったあとでな、荷物の空きがない。だから利用は控えさせてもらおう。
衛兵 それは残念だな。じゃあ、また今度利用してくれ。
レント ああ、また今度。機会があれば……。
 八階に移動後。
ノエル レントさんカバンにはまだまだいっぱいはいりますよ?
レント ……ノエルは見なかったのですか?
クリス 何をだ?
エイプリル ……お前も気づかなかったのか。ものすごいぼったくりな値段設定だっただろうが。
レント 回復薬が100、糸が150、レイピアが4000……。いくらなんでも馬鹿げている。
トラン 糸ならその値段くらいならほしいという人もいるかもしれませんが……。
クリス あまりにもひどいな。
トラン 元老院……いえ、クジュラ将軍にお伝えした方がいいかもしれませんね。




ノエル こんにちは、クジュラさん。
クジュラ ああ、お前たちか。
クリス こんな所で一人きりで何をしているんですか?
クジュラ この先の野営地点で指揮をとっているのだがな、少々暇になったから食料調達をしている。
エイプリル 食料?
クジュラ ああ、これだ。
ノエル 大きなタコ!
トラン っていうか、それ魔物なんじゃ……。
クジュラ けっこうイケるぞ? 羽ばたく蝶亭で薄く切って刺身として出されている。まあ、俺はぶつ切りにして焼くのが精一杯だがな。
ノエル へー。
トラン 帰りに一匹くらい狩って帰りますかね。
レント しかし食料調達を将軍自らするものなのか?
クジュラ あいにく衛兵たちの実力はあまり高くなくてな……。
エイプリル 逆に食われちまう、と。
クジュラ いや、さすがにタコ相手にそれはない。そんな者を連れてくるわけがないだろう。
クリス なら何故?
クジュラ タコ相手に負けることはないが、一撃で仕留めることができない。だがらぼろぼろになって食う所がなくなるんだ……。




ノエル なんだか嫌な気配がします。
クリス ええ、私も感じます。
エイプリル あの角あたりからだな。
トラン しかしあの角を通らずには先に進めません。
レント ならば警戒しながら行くしかありませんね。
ノエル えふおーいー……。
エイプリル 走るぞ!
クリス エイプリル、魔物が出た!
ノエル 逃げましょう!
トラン もたもたしてたら追い付かれます!
エイプリル こっちだ!

ノエル なんとか逃げ切りましたねー。
クリス トラン、レント……無事か?
レント わたしはなんとか。だが兄さんが……。
トラン ……(半死人中)
ノエル お水飲みます?
トラン ……はい。
エイプリル 死にかけてるところだが悪い報せがある。
トラン ……なん、ですか。
エイプリル FOE。あっちの角にもいるぞ。っていうか、数がいるんじゃないか?
トラン ……え゛。
ノエル あの、あたしが背負って逃げましょうか?
トラン いえ! それはいくらなんでも情けなさすぎ……じゃなくて! 人一人背負って逃げるなんて無理がありますんでけっこうです。自分でがんばって逃げます!
エイプリル がんばれ、トラン。(肩ポン)
クリス 死ぬなよ。(肩ポン)
トラン ……善処します。




ノエル あ、あれ!
クリス 海都の衛兵じゃないか!
エイプリル まだかろうじて息があるな。だがこれじゃ……。
レント クリス、《レイズ》を。
クリス 世界が違う!
トラン 復活薬使ってください!
衛兵 ……あ、おれは?
ノエル だいじょうぶですか?
エイプリル ……どっからどう見ても大丈夫じゃないな。
トラン そんなこと言うならメディカ使ってくださいよ!
衛兵 すまない。
トラン いえいえ。それにしても何があったんですか。これは魔物に襲われた傷じゃないでしょう。
衛兵 ああ。実は件の少女を見つけ追いかけていたんだが……。
エイプリル 気付かれて切られたか。
衛兵 その通りだ。薄れゆく意識の中、かろうじて少女の向かった先は確認した。……あっちの方向だ。
レント 言われるなくとも返り血の跡が続いているからわかる。
衛兵 ……。
トラン ま、まあ、おかげでフェイントでないってわかりましたから!
ノエル それにしてもこの傷じゃ探索は続けられませんね。
クリス そういえばあなたの安否を気にしている方がいましたよ。そちらまで送りましょう。
衛兵 いや、それにはおよばない。
エイプリル 気にするな。ちょうどここに抜け道がある。書いた地図が正しけりゃ近くに出るはずだ。
トラン 無理しない方がいいですよ。
ノエル そうですよ! あたしが背負ってあげますから。(ヒョイっと抱えあげる)
衛兵 えっ!?
トラン 心中お察ししますが我慢してくださいね。他の人と合流するまでですから。
衛兵 この状態で人前に出るのが一番嫌なんだ!




衛兵 やあ、こんにちは……。いたたたた……。
ノエル ひどい怪我……。
衛兵 いや、見た目ほどはひどくないよ。でもさすがにこのままクジュラ様のいる所に戻るのは辛いな。……ねえ、君たち。もしよかったら薬を少しわけてくれないかな。
トラン もちろんいいですよ。薬はたくさん持っています。
衛兵 ありがとう。助かるよ。
クリス なんでしたらクジュラ将軍の所まで送りましょうか。
衛兵 いや、大丈夫だよ。普通の魔物なら倒せるしFOEもこれまで見つけた抜け道を使えばうまくよけれるさ。
レント そうだとしても薬はたくさん持つべきだろう。持って行くといい。
衛兵 ありがとう。お言葉に甘えるよ。……そうだ。かわりに私の持っている薬をあげるよ。
エイプリル 薬持ってんなら自分のを使えばいいじゃねえか。
衛兵 いや、これは今の私には意味がない物なんだよ。なんせ復活薬だし。
トラン ああ、確かに。
クリス 仲間がいなければ意味がないな。
ノエル 気絶しちゃ薬使えませんものね……。




ノエル トランさん、あれ見てください!
トラン あれは……ベンチ? いや、サンゴですね。
エイプリル だがいい具合に座れそうだな。少し休憩するか。
レント 二人ともお茶飲みますか?
ノエル いただきます。
クリス 私にもくれないか。
レント ああ。
クリス やれやれ。少し疲れたな。(腰をサンゴベンチに下ろそうとする)
ノエル きゃ!
エイプリル っ!?
 なんとベンチ代わりにしていたサンゴが動きだした!
クリス なんで女性二人の時はおとなしくて私はダメなんだ! もう少しじっとしとけよ!
トラン いや、まあ、ねえ……。重量系男子は嫌だったんでしょうよ。




ノエル 見つけましたよ、オランピアさん!
オランピア あなたたち、どうしても深都を探すというの?
クリス もちろんだ!
オランピア ……必要以上の殺生は私たちも好まない。探索をやめるといいならあなたたちのことは見逃してもいい。
トラン なぜ、あなたは海都の冒険者を手にかけるのですか。
オランピア ……。
エイプリル だんまりか。
オランピア 私には私たちの理由がある。あなたたちは……なら何故あなたたちは深都を目指す?
ノエル それは……なんでしたっけ?
クリス ……特に理由はなかったような。
エイプリル 元老院のお達しはあるがな。
トラン まあ、しいて言うならば……。
レント そこに迷宮があるから?
オランピア ……。
ノエル ど、どーしましょう!? オランピアさん怒ってますよ!
クリス わ、私たちの迷宮探索理由は置いといて! 今はあなたを捕まえるためにここまできたんだ!
レント クリスの言う通りだ。我々の事情など今はどうでもいい。オランピア、『冒険者連続失踪事件』の重要参考人としてわたしたちと来てもらう!




クリス この先だったな、クジュラ将軍が言っていた場所は。
エイプリル 狭い通路だな。
トラン しかも水流がありますよ。……流されてしまったら戻ってくるのに難儀しそうです。
ノエル あああ〜っ!
トラン って言ってるそばから流されないでノエル!?

エイプリル ここだな。なるほど意味深な場所だな。
トラン ノエルはちゃんといますか?
ノエル ここにいますー。(挙手)
レント わたしがちゃんと捕まえておきましたから。
ノエル ご、ご迷惑をおかけします。
クリス なんだ、この渦潮の柱は。……ノエル、ここに海珠を置いてみてくれませんか?
ノエル はーい。
トラン 海珠が固定されて渦潮が消えましたね。
レント 一度ここを出ましょう。何か変わってるかも知れません。

【海珠】…キーアイテム。




ケトス撃破
トラン ノエル無事ですか?
ノエル な、なんとか。
クリス すまん、トラン。回復薬をくれ。
トラン ……不甲斐ない。
クリス 人によって扱い変えんなよ!?
トラン 重装備を身に付け仲間を守るべき盾であるあなたと、軽鎧しか装備できず懸命に剣をふるノエルを同じ扱いにしろと?
クリス ……う。
エイプリル トラン、そこまでにしとけ。単にお前がノエルがかわいくてしかたがなくて、クリスがそうでないだけだろ。もっともらしい理由つけるな。
トラン ……う。
レント まあ、わたしたち兄弟はノエルのために在るようなものですから。
エイプリル ……にしても気に入らねえな。
トラン ……すいません。
エイプリル お前のことじゃねえよ。(明後日の方向を見ながら)

【ケトス】…二階層のボス。海珠は彼にもらったもの。




オランピア とうとうここまで来てしまったか。
ノエル オランピアさん……。
オランピア 深王様はおっしゃった。あなたたちの良心に頼り、頼みたいことがあると。……どうかこの深都に関わる全てのことをは他言しないでほしい。
クリス そう言われて納得できるならはじめからここまできていない。
オランピア 理由はないのではなかったか?
トラン た、たしかに。でも何も知らず何も聞かずに戻るわけにもいきません。
レント そして全てを秘するものの言葉をそのまま信用し、実行することもできない。
オランピア そう。なら一つだけあなたたちに明かそう、私の正体を。
エイプリル お前の正体?
オランピア 私はその星詠みたちと似て非なる存在……人の手によって生み出された機兵なのだ。(バサリとマントを脱ぐ)
ノエル オランピアさんっ!?
オランピア 驚いた? あなたたちには馴染みのな……。
ノエル ダメですよ女の子が裸になるなんてっ! はやく服を着てください!
オランピア ……。(ノエルを指差し、何かを無言で訴えている)
トラン 言いたいことはわからないでもありません。……ノエルはそういう子なんです。
レント このままだとまともな会話もできないし服を来てくれないか。
クリス ……いくら人の体とは違うといえども目のやり場に困るし。
エイプリル それはお前だけだ。
オランピア (マントを羽織りなおして)……それで、どうだ? 他言しないと約束してくれるか?
ノエル ……。
レント ノエルの意見に従います。
トラン 同じく。
クリス 私もです。
エイプリル ……オランピア。俺たちが黙っていた所で必ずバレるぞ。
オランピア それでも、約束してほしい。
ノエル ……わかりました。誰にも言いません。
オランピア ……ありがとう。では、ついてきて。海都への樹海機軸に案内するから。




フローディア さあ、報告しておくれ。……深都はあったんだね?
ノエル ……それは。
エイプリル (ノエルの口をふさいで)ああ、あった。
クリス エイプリルっ!?
エイプリル すぐに戻ってきたから詳しくはわからんがな。それよりももう帰らせてくれないか。……ケトスとの戦いでへとへとなんだ。
フローディア あ、ああ、悪かったね。今日はゆっくり休んで明日またきておくれ。話したいこと、たのみたいことがあるんだよ。
エイプリル ああ、また明日な。

ノエル ……エイプリルさん、なんで深都のこと話しちゃうんですか!? オランピアさんと約束したのに!
クリス 元から約束を守るつもりなんてなかったんだな!?
エイプリル ……約束したのはノエルだ。俺は約束も同意もしていない。
トラン なにか、わけありみたいですね。
エイプリル わけありというか、黙っていたところでバラされてただろうからな。
レント バラされてたとは?
エイプリル やっぱり気づいてたのは俺だけか。
ノエル ……何かあったんですか?
エイプリル ……俺たちはつけられていた。あのクジュラという男にな。
レント つけていたのなら深都に入るわたしたちを目撃しているだろうな。
トラン なるほど。確かにそれなら黙っている意味はない。彼は必ず深都のことを報告するでしょう。
クリス ならば偽りや沈黙は元老院の不信を買うだけ、か。
エイプリル にしても、気に入らねえ。
トラン 信用されてなかったってことですもんね。
エイプリル それもあるが……。つけてきてんならケトス倒すの手伝えよ! 死にかけたんだぞ!




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