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Point of view 

~After~


「――君、起きてください。――君に見つかっちゃいますよ」
「え? あれ、ボクは何してたんだっけ……?」
「しぃー、静かに。来週の出かける予定をみんなで決めていたところじゃないですか」
「……うん。そうだった、そうだったよね」
「では投票の結果、行き先は希望ヶ峰遊園地ということとなった」
「オーソドックスでいいんじゃね?」
「遊園地か。我は――と行ったきりだな」
「楽しかったよね、――ちゃん!」
「本当に仲がよろしいですね、お二人は」
「うん。だって親友だもん!」
「遊園地か。そんな低俗な場所には興味ないな」
「……希望ヶ峰遊園地のことをものすごい勢いで検索しながら言うセリフじゃないべ」
「ちょっと! ――様の携帯を覗き込むなんてうらやまし……じゃなくて失礼なのよ!」
「――のセリフを肯定するのはしゃくだがその通りだ」
「――さんは目立たないようにしないとね。なにせアイドルなんだから」
「そうですよね。……せっかくだから服を買い足そうかなぁ」
「それにはおよびませんぞ。ここは僕のコレクションを……」
「あなたのはコスプレ衣装でしょう? 逆に目立ってどうするのですか。……というか――さんのサイズの衣装を何故持ってるのです」
「もちろん現役アイドルにいつかコスプレしてもらうために……げふっ!」
「……このブタはわたくしが黙らせておきますので相談を続けてくださいな」
「じゃ、じゃあさ。私と一緒に服を買いに行こうか。もちろん――ちゃんたちも一緒に」
「……たち? もしかして私も入っているのかしら?」
「どうせ、誘ってるのは――だけであたしは仲間はずれでしょ?」
「何言ってるの! もちろん――ちゃんと――ちゃん、――ちゃんも誘ってるよ! あ、でも私たちが買いに行く店で――ちゃんの着るような服ってあるかな?」
「ふふ。たまにはみなさんの趣味に合わせてあげてもよろしいですわよ。――さんが目立たない格好をするのに、わたくしが目立ってはしかたありませんもの」
「……どうせ、あたしのことみんなで、ブスはどんな服着たってブスだって笑いものにするんでしょ。だったらあたし行かな」
「――。俺の横を歩きたいなら着飾って少しは見れる格好になって来い」
「はい、――様!」
「……鶴の一声ですね」
「っていうか今のセリフって」
「言うのは止めておけ。意図がなんにしろ、奴は否定する」
「――が目立たない格好をするんなら兄弟も服を買わねえとな?」
「この格好では駄目なのか」
「ダメに決まってんじゃん。遊園地に制服なんて浮きまくりだっつーの!」
「みんなで制服を着ていれば目立たないかもしれないけど……」
「それはそれで目立つ集団だよね。っていうか修学旅行みたいに見えるよね、きっと」
「そうか。では僕も服を買いに行かないと」
「付き合うぜ、兄弟」
「僕も! 僕も新しい服がほしいし」
「それにはおよびませんぞ! ――殿には僕のコレク」
「だから黙ってろって言っただろーが、この腐れラード! ……みなさん相談を続けてくださいな」
「相変わらずすごい豹変ぶりだべ」
「よーし! ここはオレが人肌脱いでイインチョをカッコよくコーディネートしてやろーじゃんか!」
「よろしく頼む、――くん」
「俺もつき合うべ。――っちに任せといたらパンクファッションの――っちが出来上がりそうだべ」
「見てみたいような見たくないような……」
「どっちにしろ兄弟には似合わねーな」
「では、ここは僕の出番ですかな」
「オタクが何言ってやがる。……兄弟にこすぷれなんてさせたらただじゃすませねーぞ」
「拙者は二次元限定、しかも男はアウトオブ眼中!」
「――は男だろーが」
「それはそれ、これはこれ。……こほん。これでも目は肥えておりますので――殿にふさわしい服装を選んでみせましょうぞ!」
「オタクのブーデーが何言ってやがるんだ」
「――殿は何もわかっちゃいない。きょうび同人誌とは美少女のみを描いていればいいというものではない! 男役もまた必要なのだ!」
「だーかーらー! それが何の関係があるんだっつーの」
「生きたキャラクターを創るには情報が不可欠! ましてや魅力的なキャラクターを創るならば身だしなみも気をつけねばならない!」
「そういえば――君の部屋ってファッション雑誌がいっぱいあったね。もちろんメンズも」
「そのとーり! 常日頃から僕は切磋琢磨し続けているのだ! ……本当は男の写真なんて見たくないけどねー」
「いや、そこはオチをつけるとこじゃないべ?」
「ええっと、結局みんなで服を買いに行くんだよね?」
「そうだな。――ももちろん来るよな」
「うん、もちろん! ――クンも行くよね」
「……お前らがどうしても、と言うのなら行ってやってもいいぞ」
「……なんつーかさ、これ恒例になってねぇ?」
「まあ、お約束は大事だべ」
「ツンデレも度が行き過ぎれば見苦しいのに。しかも男だし」
「まあまあ、これくらいいいではないか」
「じゃあ、みんなで言うよ。せーの」
「「どうしても!」」
「しかたがないな、付き合ってやる。――家の車を出してやるから感謝しろ」
「よっしゃ。足ゲット!」
「――っち、そういうのは心の中だけにしとくのをお勧めするべ」
「……どうしたの、――君、何を笑っているの?」
「え? うん、なんでもないんだけど、でも……」


――なんだか、今……すごく幸せだなって思ったんだ。



~End~



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