朝に関する五つのお題
Breakfast
新米女神:エア&メッシュ
「ルーフェリア様……。今日も湖面のように穏やかな一日を過ごせるように見守ってください」
エアは朝の祈りを簡単にすませると、大きく伸びをした。そして布団を落としてしまっている妹と敬愛する女神の欠片に布団をかけ直し、部屋を出る。
「(あーあ。今日はあいつの方が先か)」
ため息をついたエアの先には火の入れられたかまど。昨晩消したのを確認したから、これは誰かが火を入れたということになる。そして、それをするだろう人物は自分を除けばただ一人しかいない。
……ちょうどそのただ一人が水瓶を担いで台所にやってきた。
「おや、電波エルフ。今日はお早いお目覚めで」
「うるさい。昨日はあんたより早かったわよ」
「はっ。過去の栄光にすがるなんてみっともなくございますよ」
……まだグチグチ言おうとするルーンフォークを軽く無視して備蓄食料を確認する。
どうやらゆで卵とサラダが出来そうだ。
メッシュがくんできた水を奪って湯を沸かしてゆで卵を作る。その間にサラダを作ろうと野菜を切っていると、その横からメッシュが野菜くずを奪っていく。何をするのだろうと見てみれば、昨夜に出た野菜くずも加えてスープにするつもりらしい。
卵をゆで終わった鍋を洗い、野菜くずと干し肉を放り込んでかまどにかける。彼はその間にパンの準備をするようだ。
なら自分は食卓の準備をしよう。テーブルを拭いて、食器を並べる。サラダとゆで卵、コップに入れた水を各人の椅子の前にセットする。
……協力しあっているような二人の行動だが、二人にそんなつもりはまったくない。朝食の準備をしなくてはならない、だが片割れの手伝いは癪にさわる。だからお互い朝食の支度をしながらも、まったく違う行動を行い……その結果、互いに補うような行動になっているのだ。
「さてと」
「さてと」
同時に用事を終えて一息つく。独り言がきれいに重なったのが気に入らなかったのか、ムッとした顔で互いに軽く睨んだ。
……本当にこの二人は気があっているのか、まったくあっていないのか。彼らにきけば、間違いなく後者だと間髪いれず断言するだろうが。
「ソラとルー様を起こして来なきゃ」
「ジーク様にお目覚めしてもらわなくては。あとついでにリルトカゲンも」
最後までセリフも行動もハモらせて二人はそれぞれ仲間たちのもとへ向かった。
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